INDEX / an ammonite.
タイトル「INDEX」は示準化石(Index fossil)を意味する。私の中で思考や行動、創造の中で一つの示準になっているフォルムだ。
アンモナイトは6550万年前に絶滅したとされ、その繁栄した時代が3億5000万年以上と凄まじく長い。かつて世界中の海に生息し、1万種以上ともっとも繁栄に成功した生物だ。その為世界各地で化石が発掘されていて地質の年代を確定するための基準となる化石(示準化石)の一つとなっている。
僕はアンモナイトやオウムガイを美しいと感じ、よく被写体にしてきた。これは対数螺旋という渦巻を持つもので、台風や銀河の渦、隼が獲物に近づくときに描く螺旋というように、自然界の色々なところに存在する螺旋の一種だ。拡大しても縮小しても回転すればぴったりと元の螺旋に重なるという性質を持っており、人工物ではレオナルド・ダ・ヴィンチの設計したバチカン美術館の二重螺旋階段は真上から見ると対数螺旋になっているという。アンモナイトは人間よりもよっぽど長い期間地球上で繁栄し、その年代の長さと豊富な量から示準化石のひとつとなっているのだが、きっと環境に適応し、生き残るためにこういった完成された形状になっていたのだろう。僕はそう言ったところに磨かれた美しさを感じていたし、様々なアートの対象となるにしかるべき螺旋だと思う。
このアンモナイトやオウムガイの螺旋は黄金比を持った対数螺旋で、それが美しさの秘密だと定説のように言われている。ところがオウムガイの螺旋は黄金比の螺旋とは全然合わないのだ。これは一体どういうことだ。
アンモナイトとオウムガイの螺旋を比べてみてもそれは重ならない。それは生物の持つリアルな個性とでもいうものか、各々が持つ美しさなのでは無いだろうか。
私はすっかりこの螺旋に吸い込まれ作品制作に至った。この8枚の写真は全て同じ直径約12cmのアンモナイトの化石を撮影したものだ。カルサイト結晶化した部分を近接撮影したものなど水晶のようでとても美しい。
このフォルムやディテールには雄大な自然の風景と同じ、抗えない畏敬の力を感じざるを得ないのだ。
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