先日のトルコ遠征でうちのチームの人間が現地に着く直前に「実はイスタンブールに知り合いの漫画家が住んでるんですよ、、良かったら会ってみて現地情報とか聞いてみませんか?」といいだした。なんでトルコにいるのって聞いてみたらなんでもトルコに住んでトルコの漫画を書いているということらしい。。これは面白い。
実はもう「行くよっ」て連絡取り合ってるというので、みんなで会ってみることにした。僕は漫画家さんという職業の人に知り合いがいなかったので結構興味深々、情報をうんたらかんたらっていうのもありつつ、どんな人なんだろうというのが大きかったのだが。
その漫画家さんは「市川 ラク」さんという方で、なんというか壁のない、初対面でもお話のしやすいタイプの女性なのだが、単身トルコに乗り込んで、しかも住んで生活し、そこで漫画を描くという思い切ったことをするタイプのようである。かくして、トルコでトルコに住んでいるトルコの漫画を書いている漫画家さんと知り合う、というありがたい巡り合わせを得たのである。
さて帰国して早速ラクさんの描いた漫画「わたし今、トルコです。」を購入、読ませて頂いた。
僕自身、トルコは3度目で、それなりにどんな国でどんなビジュアルで、っていうのは知っているつもりだったが、やはり写真と漫画という表現の違いからかアプローチが全く違う、この漫画、面白い!! やはり住んでみないと出会えない状況やたどり着かない思考があるなあ、と思った。
トルコがどういう国で、そこに住んでみて、というベースはありつつ、登場人物の人種が多種多様。色々な国から来てトルコに住んでいる人たちとのコミュニケーションを描いた部分が僕的にはツボだった。生活、宗教、恋愛など様々な人種(個人?)の価値観が入り混じってラクさんを取り巻く環境を彩って行く。
読んでいると、個人個人の付き合いでは人種や宗教に違いがあっても友達になれてて、、、最少単位なら世界平和が実現できてんじゃないのとか思ってしまうような部分もあり。
日韓の関係だったり、トルコとギリシャ、ロシアとの関係だったり、ネットだけ見てたら中の悪い国どうし、でも本作に出てくる「国のもめごとは個人には関係ないよね」「そうですともっ」というやりとりにグッとくる。ミニマムだがここが平和への起点となるはず。
そしてまた驚いたのはみんな自分の考えをしっかり持っているのはいいとして、宗教すらコロっと辞めてしまったり、変えてしまったり、勝手な解釈だったりするようで。。本当に面白い、、面白いというより興味深い。「アラーが嫌がることいっぱいしてるけど、信じてるからあたしを助けてくれる」、、、っていう人が出てくるんだけど、ありなのね。。”信仰の仕方は個人に委ねる”的なことがクルアーンに書いてあるそうだ。。。寛容は重要である。
大事なのは自分、みたいな。こういう自由な人の考え方って知っといた方がいいよなあ、、って結構心にドスンと来た。何事でも思考を狭くしたり壁を作る必要はない。
そのほかにもテロが起きたときの話や結婚式の話など、リアルな体験が漫画に描かれていて最初から最後まで本当に面白い。漫画と言ってもドキュメンタリーなのである。可愛くやわらかい絵の中に、リアルのもつ強さがずーっと存在し続ける。
ただ、あーだったこーだったという話ではなく、ラクさんの思ったことや感じたことが作品の中で柱のように立っていて、同じ日本人にはその柱に沿って感じたり考えたりすることができると思う。
僕自身、ここ15年で一体何カ国、何百都市巡ったのかわからないけども、こういう経験はやはり撮影で数週間訪れたぐらいでは得難く、、どちらかというと子供の頃5年間住んだサンパウロでの生活を思い出すのであった。自分の異文化を受けいるれる土台は間違いなくあの時に作られている。。
ともあれ、大げさにいうと、世界平和や相互理解の為に読んどいた方がいいと思った。なかなかそこに住むというのは難しいが、ラクさんがそれを実践し、伝えてくれている。
そして単純に、読んでいて楽しい。笑える部分もたっぷりある。
おすすめ。
イスタンブールでお会いした時の記念写真。僕の隣にいるのが市川 ラクさん。ちなみにラクというのがトルコの強いお酒で、そこから来た名前らしい。
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